万葉集

3番

天皇すめらみこと宇智うちの野に遊猟みかりしたまう時に、中皇命なかつすめらみこと間人連老はしひとのむらじおゆをしてたてまつらしめたまう歌】

八隅知やすみしし わご大君おおきみ
あしたには 取り撫でたまい
ゆうべには いせ立たしし
御執みとらしの あずさの弓の中弭なかはずの 音すなり
朝猟あさがりに 今立たすらし 夕猟ゆうがりに 今立たすらし
御執みとらしの あずさの弓の 中弭なかはずの 音すなり

すべてをお治めになるわが天皇が
朝は手に取ってお撫でになり
夕暮れにはそばにお寄せ立たれた
御愛用のあずさの弓の 中弭なかはずの音が聞こえる
朝猟あさがりに今お発ちになるらしい 暮猟ゆうがりに今お発ちになるらしい
御愛用のあずさの弓の 中弭なかはずの音が聞こえる

中皇命なかつすめらみこと(間人皇女はしひとのひめみこ)