この
そらみつ
しきなべて われこそ
われこそは
籠よ 良い籠を持ち
この丘に菜を摘む娘よ 家を聞かせ 名を告げておくれ
そらみつ大和の国は すべて私が治めている
隅々まで私が治めている
まずは私こそがあなたに告げよう 私の家も名も
大和には
登り立ち
うまし国ぞ
大和には数多の山があるが とりわけて荘厳なる
素晴らしき国だ この
すべてをお治めになるわが天皇が
朝は手に取ってお撫でになり
夕暮れにはそばにお寄せ立たれた
御愛用の
御愛用の
たまきはる
魂が満ち溢れる
朝には踏んでおいででしょう その草深く茂る野を
うつせみも
今の世も愛する者を奪い争うらしい
立ちて見に来し
神が立ち上がり見に来た
冬ごもり 春さり
鳴かざりし 鳥も
咲かざりし 花も咲けれど
山を
秋山の 木の葉を見ては
そこし恨めし 秋山われは
冬を籠もり 春が来ると
鳴かずにいた鳥もやってきて鳴く
咲かずにいた花も咲くけれど
山は茂り 入って手に取れもせず 草は深く
秋の山の木の葉を見ては
そこだけが恨めしいが 秋山を選ぼう私は
道の
つばらにも 見つつ行かんを
しばしばも
青き土の美しい奈良の山の 山際に隠れてしまうまで
道の曲がり角が
しみじみと見続けて行きたいというのに
心無く雲が隠してよいものか
雲だにも
隠そうべしや
せめて雲だけでも心があってほしいというのに
どうか隠さないでおくれ
美しく衣に
野の番人が見てしまうのではないでしょうか あなたが袖を振るお姿を
人妻と知りながら どうしてあなたを恋い慕うことがありましょうか
春過ぎて 夏
春が過ぎて 夏がやってきたようだ
純白の衣を干している
いかさまに 思おしめせか
大殿は ここと言えども
春草の 茂く
美しい
お生まれになった神々のすべてが
天下をお治めになっていたのに
天に満ちる大和を離れて 青き土の美しい奈良山を越え
どのようにお思いになられたか
天道から遠く離れた
水が溢れ岩を流れる近江の国の
天下をお治めになったという
大殿はここであると人は言うが
春草が繁く生い茂り 霞が立ち 春日の霧が立ちこめている
ささなみの
昔の人に またも会わめやも
昔の人に再び会うことはあるだろうか
国はしも
山川の 清き
花散ろう 秋津の野辺に
この川の 絶ゆることなく
この山の いや高知らす
すべてをお治めになるわが天皇が 統治なさる天下に
国々は多くあるけれど
山も川も清らかなる
花の散る秋津の野辺に 御殿の柱を太く立てお治めになると
船を並べて朝の川を渡り
競い合って夕暮れの川を渡る
この川のように絶えることなく
この山のようにますます高々と統治なさる
水流激しき滝の御殿は いつまで見ても飽きることのないものだ
見れど飽かぬ 吉野の河の
絶ゆることなく また
見飽きることのない 吉野の川の 滑らかなることが永遠に続くように
絶えることなく 繰り返し見よう
神ながら 神さびせすと
吉野川 たぎつ
上り立ち 国見をせせば
春べは 花
秋立てば
山川も 依りて奉うる 神の御代かも
あまねく全てをお治めになる 我が大君は
神であるままに 神らしく振る舞われ
吉野川の
登り立って国を見渡せば
山の神が 天皇へ献上する
春には 花を
秋になれば
上流に
山も川も こぞって仕える 神の御代よ
山川も よりて
たぎつ
山も川も こぞって仕える神は 神であるままに





















